オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

瀬谷ルミ子「職業は武装解除」を読む4

日本紛争予防センター(JCCP)の活動については、「夢の扉」の中でも紹介されていたが、本書でも、その三つのステップが語られている。一つ目が、治安の改善。二つ目が、最低限の生活環境。三つ目が、経済的・社会的な自立。そして四つ目に、和解。

本書の後半では、具体例がいくつも紹介されているが、中でも南スーダンでのストリートチルドレンの話が印象的だった。男子は、ペットボトルに接着剤を入れて酩酊し、女子は性的な被害にさらされている。その子等に啓発活動と職業訓練を行っているのだ。初めは、5分と座っていられなかったという。日本で言えば、学級崩壊状態だが、不安を抱えて、自分の気持ちを制御できなくなると、どのような状態に陥ってしまうかは、困った意味で世界共通なのかもしれない。
結果、路上生活者や最貧困層の子どもたち200人のうち、半数が就職したという。瀬谷さんはもちろんこの数字に満足していないようだが。

次に、職業訓練中のストリートチルドレンが犯罪者として疑われてしまい、刑務所に拘留された話が出てくる。そこでJCCPは、夜間警察に怯えなくていいように、彼らを守るための家となるシェルターを提供した。今まで彼らに手を差し伸べる大人は誰もいなかったのだ。

しかしながら、本書を読み進めるうちに気付くのだが、いわゆる資金や物的な提供に関する話は、あまり出てこない。原則、現地の人で生活を再建できるように持っていくのが、基本的なスタンスのようである。だから、現地の人々にとっては「当てが外れた」と感じる部分もあるだろう。しかし、そこをおいそれと譲らないのが、JCCPのぶれないところで、何を言われようとも、最終的に自分たちのことは自分たちで解決するできと考えているようなのだ。ここには思想や正義感の押し売りはない。

実は、子どもたちの話は、あまり他人事ではない。すでに日本でも子どもの6分の1が貧困という調査があるからだ。未来に希望を持てる教育を与えるのは、大人の責務だと思う。