オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

瀬谷ルミ子「職業は武装解除」を読む5

もう一つ、対立している民族の子どもたちが、共同して清掃に取り組むマケドニアの話が出てくる。子どもの姿を見た大人たちが考え方を変え始めるところで、活動例の紹介は終わっている。和解という最終ステップについて、たとえ緊張状態であっても、お互いに暴力を使わずに問題を解決できる状態で共存できているのであれば、それも一つの平和の形なのだと瀬谷さんは言う。日本・中国・韓国の関係にも当てはまる事案がありそうですね。

読み進めるうちに、「覚悟」とか「志」という言葉が頭をかすめた。彼女の職業は、場合によっては危険と背中合わせであり、逆にそのような状況におかれた地域だからこそ成立している仕事だからだ。最終章では、実際のかなり「危険だった」体験談が語られている。向こう見ずと言えば叱られそうだが、瀬谷さんの行動は、とにかく現場に行き、チャレンジするという精神に満ち溢れている気がする。
ただ、女性であることを、彼女が寄り添う場面で強みとして活かそうとしているのは、まだまだ男社会であるがゆえに、男では寄り添えないもしくは気づかない部分があり、男女が共同しなければ、解決できないことが、きっと山ほどあるだろうことを感じた。

今まで、一つの本の読後感を数回に分けて書き込んだことがなかったのですが、今回はあまりにも学ぶことが多く、このような連載になりました。