表題にある「日本人」とは、おわりの方を読んでみると、どうやら「おじさん」のことだったらしい。誰とズレているのか?は、むろん「若者」とである。つまり本書は若者世代から見たおじさんたちの見当違いを皮肉っている本なのだ。続く「ズレている」は、真っ向から対峙し論陣を張るのではなくて、感性やスタイルが「ズレている」ことを指しているように読める。
まあ、無自覚か?確信犯であるか?は置いておいて既得権益を貪ってきた「おじさん」世代としては、自分たちの歩んできた道筋とだいぶ違うところに若者がテントを張っているのが、わかる本でもある。若干は挑発的な部分も一部にあるけれど、なぜか上の世代に向けて攻撃的に言葉が飛んでこない。この本の内容が低成長時代、成熟しきったポストモダン文明を生き抜いていく術であるとしたら、たしかにそうなのかもしれないなあ〜と頷くばかりな訳です。
終章に登場するダウンシフターズ(減速生活者)をはじめとして、独特の生活スタイルを持った人が、本書にはチラホラ登場するが、近未来においては、さらにいろいろな生き方が模索されるのかもしれない。そこでは煽られて消費に走るとか、政治に夢や希望を託すとか、無縁なのだろう。本書の最後の方に2040年の未来予想が描かれている。それは、明るいバラ色ではないかもしれないけれど、少なくとも真っ暗闇ではなさそうだし、仄かに薄暗い霧の向こうに見える未来のような気がした。