オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

声明・平曲・平家琵琶

私は歌が好きなので、日本の声楽の原点である声明のことは前から気になっていた。仏教伝来当時から、何らかの節を付けてお経が唱えられていたはずだ。だから東大寺大仏開眼という一大国際イベントの場でも声明は聴こえていたはず。現在伝えられているのは、比叡山に伝わる天台声明と高野山に伝わる声明の二つだ。
この声明の節を元に、琵琶法師が平家物語を奏で、能の謡曲となっていったというのが、日本の声楽史で、まさに西洋音楽グレゴリオ聖歌の位置に、声明があるということだ。
さて、昨日今日と平家物語を奏でる動画を見ていた。「祇園精舎」「那須与一」「敦盛」。それにしても何と心に深く沁みる音楽だろう!琵琶の開放弦の音が響くだけで、ほとんどうっとりしてしまう。(ちなみに弦は完全五度と四度で調弦されている)ここから先は、私の筆力では文字が力を失い、音楽は音楽で感じるしかできない領域になってしまう。
ただ、一つ勉強になったのは、墨譜あるいは博士と呼ばれる日本版ネウマが、平曲を紹介するサイトに載っていたことだ。このネウマは平曲(平家物語)に限らず、浄瑠璃の時代まで記号として、機能していたらしい。西洋もグイド・ダレッツォが音の高さに線を引き始める前の古ネウマと似ている部分ある。縦書きか横書きかの違いはあるけれど、洋の東西を問わず似たような記譜法で伝えていたことがわかる。