オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

思い出の名馬を語ろう3 カブトシロー

天皇賞有馬記念を制したこの馬は、たしかに名馬である。しかし、同時に失礼を承知言えば「迷馬」でもあるのだ。いわゆる本当に強い馬は、ファンの人気によく応えてくれる。しかし、カブトシローは、人気が出ると負け、人気が薄いと勝つという全くファン泣かせの馬だったのである。気性が大変荒く、騎手泣かせで走ってみないとわからない感じだった。二周するレースで、一周目なのにスタンド前を暴走したというエピソードもある。
私が思い出に残っているのは、第4コーナーの「せこい」曲がり方である。競馬はとにかくそれまでいろいろあっても結局は第4コーナーからが勝負なのだ。そして、大概の場合、曲がる際に大きく外へ膨らんでしまう。当然距離は損するが「何せ猛スピードなので仕方がないのだろう」と子ども心に思っていた。ところが、カブトシローは、内側ギリギリのグチャグチャしたところを最短距離で走り抜け、秋の天皇賞を勝ったのである。何一つ反則ではない。他の馬が走らないところを走っただけのことなのだ。
次の有馬記念はもっとすごい!向こう正面を暴走し、だれもが持たないと思った正面スタンド前をまるでスピードを落とさないままぶっちぎりで勝ってしまうのである。
出生父親の謎。鞍上の騎手が八百長疑惑に絡んだ話。気性と関連するけれどスタート直後出遅れの常習犯。カブトシローを巡るエピソードは多い。
人間で言えば、かなりの困った人だろう。でもそんなキャラでも、しっかりそれなりの成功を掴んでいる。カブトシローは困った人たちの希望なのかもしれない。