バランスが悪い人間(偏った人間と言い換えられる)は、沈まないことが不思議な船のようなもので、傾き始めるともう片方へ重いものを動かしてバランスを取らないことには、大きな波を受けて転覆してしまう。剣道に打ち込んでいた頃の三島由紀夫にその気配を感じるし、北野武も微妙なバランスの上に自分が爪先立ちしている人だと思う。自分は、そこまでの才能はないけれど、やはりバランスが極めて悪い人間である。
自分は、今合唱音楽というフィールドにいる時間が長い。でも元来がとても飽きっぽく、目先の変わったスポーツをやらせておかないとダメなので、昨年から薩摩琵琶を始めた。バレーボールの選手が、突然柔道を始めたようなものかもしれない。
しかし、今年度は学校の仕事も音楽専科と感性勝負な仕事になったので、知的論理面が留守がちになっている気がしてきた。そこで、夏休み前に塾講師のアルバイトに応募してみた。塾という知的詰め込み教育の道場のようなところに身を置くことで、知的好奇心ウィングのメンテナンスができるといいなぁなどと勝手に取らぬ狸の皮算用をしている。