オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

音楽東西 陽と陰

西洋発祥の音楽を陽とすれば、邦楽は陰。双方の音楽を、コーラスと琵琶楽を、行ったり来たりする中で、そんなイメージが自分の中にできつつある。
音楽は結局人に聴いてもらってナンボのもんだと思うし、それは洋の東西を問わないのだけれど、何に喜んだかは、それぞれ事情が異なる。
教会音楽の影響を受けつつ愛を歌う吟遊詩人と、平家一門の栄枯盛衰を通して諸行無常を語る琵琶法師は、どこか対照的だ。ヨーロッパ音楽の陽の部分は、やがてイタリアでオペラに拡大する。オペラでは悲劇が演じられることが多いけれど、舞台上から発せられる音楽は、極めてアグレッシブな気がする。転じて、日本では諸芸能を統合して世阿弥父子が、能という芸能にまとめたのだけれど、仮面劇であることからしても、登場人物の内奥を深く聴き手が想像することによって、カタルシスに到達できる。
邦楽の湿っぽさや独自の発展を経た立ち位置より洋楽の明るさが、文明開化の日本人には、新鮮に映ったのだろう。腰を据えた比較文化論の登場を期待したい。