オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

多田武彦 追悼2

初めて、多田武彦作品にふれたのは、大学入学と同時にグリークラブに入った時のことで、当時、横浜国立大学グリークラブは、草野心平の詩による「蛙」を歌っていた。横浜国大グリーは、多田武彦作品を演奏することが多いらしい。自分が学生指揮者だった時も「木下杢太郎の詩より」を演奏している。あとでわかってきたことだけれど、常任指揮者を招いている合唱団としては珍しく、学生指揮者が定期演奏会で2ステージを振らせてもらえる有難い(ある意味リスキーな)クラブだったのです。学生指揮者にとって、男声合唱曲を勉強する格好の素材であり、かつ演奏効果も高い曲が多田武彦作品だったのです。
私が4年生の時、多田武彦先生が横浜国大グリークラブの練習場にいらっしゃったことがある。当時は「雨」を練習していたが、五度をちゃんと決めること、ppでスタッカートをハモる練習をしていただいたことが記憶に残っている。大学名に関心を持たれている様子で、横浜国大グリー特有の音色は「緋」であるとおっしゃり、各界をリードする活躍を期待されて、お帰りになられた。ご自身は、まだ大手銀行に勤めていらっしゃった頃だから、これから社会に出て行く学生たちに、何かメッセージを伝えたかったのだと思う。