オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

星守る犬 、続星守る犬

妻に切ないけれど、なかなかいい…と言われて読んでみた。ストーリーの背景が、セピア色というか、そもそもほんのりと暗い。でもその暗がりの中で、うごめく人々は、実に健気で自分が生きる信念に忠実だ。犬=ハッピーは、登場人物にとって、かけがえのない犬だが、漱石の我輩は猫と同様に、少々主人公に対して、距離を置いている時もあれば、犬という性格上?忠犬ハチ公以上に、主人公を支え続ける場合もある。
話は、オムニバス形式で、登場人物を重複させながら進んでいく。私は、続編に出てくる偏屈なおばあさんに引き取られる死にかけた犬の話が、心に残った。この話では、人も犬も二人?とも最初から死にかけているのである。スタート地点からしてかなり厳しい。だから上がっていくしかないのだが、当然うまくは進まない。ただおばあさんが、本来もっていたはずの、偏屈でない部分を取り戻し、笑顔が増えていくところが、やはり読んでいて嬉しい。
続が付いていない方のあとがきで、小泉改革云々について触れているが、社会保障、世の中の景気、政治動向をもろに被りながら、それでも生きてきたし、安倍一強政治の今も生きていくしかない人々。悲しいのに、寂しいのに、どこか元気をもらえるストーリーでありました。