オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

柔軟性と執着心

20191009夜、吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞されたニュースが日本列島を駆け巡った。満面に笑みをたたえ穏やかな口調でインタビューに応じられる姿が、お人柄を想像させる。その会見の中で記者の質問に答え、研究の継続に必要なこととして「柔軟性」と「執着心」を挙げられていた。
研究とは、実際に科学研究に携わっているか否かに関わらず、人の生き方そのものなので、吉野彰さんのお言葉は、何でもない凡人の私にも伝わる。また伝わる言葉で語ってくださっているのが、ありがたい。
まず柔軟性。人は日々を試行錯誤の中で生きている。やってみてダメなら他の選択肢を探る。当たり前の話だけれど、普通は上手くいくはずのことを優先するので、試行錯誤に気づかない。
例えばハーモニー。ハモらなければ別のやり方を試してみるべきだが。袋小路に陥ると同じところで堂々巡りを繰り返してしまう。違う方法や選択肢を用意すること。ネタが尽きたら探し始めること。自然科学の研究とは違うかもしれないが。壁にぶつかった時に柔軟性を試されているのだと思う。
次に執着心。言い換えれば「あきらめない」ことかもしれない。あきらめるとは、可能性を全て捨てることで、その先に道はない。山に登ろうとしていたのに降りてきてしまうことと似ている。何に執着するか?は人によりけりだろうけど、執着しているものがあるからこそ、その時の自分がいるわけで、これはほとんど存在理由に近い。
自分で言えば音楽。アカペラにしても琵琶楽にしても最終ゴールはないし、見えない。途中にちょっとした道標が立っているくらいだ。どこかで演奏した後、傍に道標が見える時が多い。歩き続けていくこと、道を間違えたら、一旦引き返してもまた前に進むこと。立ち止まるや休息はありだが、そのまま歩くのを放棄してしまわないこと。吉野彰さんがおっしゃった執着心をそのように理解してみた。