ウミジという歌い方
薩摩琵琶を習っています。琵琶愛好家でも謡や詩吟の経験がある方は、ご存知なのでしょうが、私は合唱畑からやってきた?ので、経験したことがない音やテクニックにたくさん出会っています。
その一つがウミジ。一つの音に一つの母音を基本とすれば、西洋音楽には一つの音で二重母音を歌うことがあるけれど、対照的に日本にはウミジがある。例えば、君が代。「きみがよは」ではなくて「きみがあよおわー」と聴こえる。これは「が」や「よ」に二音が割り当てられているからで、小学校低学年にこの歌を教える時は、「きみがあよおわー」と歌うんだよと言ってあげた方が早い。
母音を伸ばして、そこにさらにいくつもの音が続く。これがウミジで、メリスマの一瞬と呼んでもいいのかな?しかもそこにはビブラート的な音の震えが含まれる、それが演歌や浪曲のコブシに発展したのか?は、まだよくわからない。
ただ、ハーモニーするための発声法とは真逆で、一定のピッチを維持して、ビブラートをかけずに歌う合唱発声とは違う。声を震わせたり音を動かしたりすることで、生まれる音の味わいを、どうやら日本の伝統芸能では楽しんできたのだ。
以下は、能の宝生流に関する論文ですが、宝生流でのウミジや君が代の歌唱法に対する記述が後半に出てきます。↓