ペール=ギュントを読む
どこにも出かけないので、懸案の少年少女名作文学を読み始めた。私が小学生の頃から使っている卓上蛍光灯、五月人形と並び55年以上我が家にある。僕が定年になったら読破するから捨てないで!と説得しつつ、全然読んでなかった代物だ。
もちろん子どもの頃には、読んでいる。でも五十巻の中にはまだまだ読んでいない物語も混じっており、それを読まずに処分することがもったいなかったのだ。
まずは、第38巻のペール=ギュントから。グリーグの組曲で有名な主人公ペール=ギュントがしょうがないホラ吹きで暴れん坊だということは、イプセンの原作を読まないことにはわからない。
魔王の宮殿は、キリスト教に対する異教徒への偏った見方が生み出したものだし、アニトラが出てくる場面はインチキな老預言者に扮したペールの何とも恥ずかしい話。最後に一途な愛を貫くソルベイグの元に戻り、真実を気づくと、まぁざっとこんな話。
場面それぞれが面白く、ハラハラさせるのは、さすが戯曲家イプセン!大ボラ吹きのペール=ギュントには、きっとノルウェー人のもつ一面が投影されているのだろう。
そして、誰もが心の内に夢想家ペール=ギュントを秘めているに違いない。