オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび25

名作を読む4

にんじんを読む。

堅物な関東人はドイツ人に。人との間合いを計りたがる関西人はフランス人に。そして情熱的な九州人はイタリア人に、どことなく似ているような気がしている。

こんなことを思うのは、イタリアの物語を読んだあとにフランスの物語を読むと、何とも微妙な気持ちの動きというか、直球ではない変化球的な感情のやり取りが表現されたいたからだ。モーパッサンのジュールおじさんなどにも、この変化球というか、斜に構えた人間の見方を感じてしまう。

子どものことを心良く思えないすべての親と、親に対する複雑な思いを内に込めている子どもたちは「にんじん」を一度読むといい。主人公と母親の関係は、かなりこじれている。そしてその微妙な心理を作者は、心憎いまでに文章化している。

日本でも、時折親子を巡る悲しい事件が報道されるが、豊かな愛に恵まれない微妙な親子関係は、普遍的な課題なのかもしれない。