オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび37

名作を読む14

グリコローゼビチ作「サーカスのゴムまり小僧」を読む

ソビエト編の物語。

日本国憲法第十四条 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。ご存知の通り、現行憲法では平等権を掲げている。

では、すべての国民が平等と言えるのか?健康で文化的な生活や教育を受ける権利が保障されているはずなのに…。ましてやコロナウィルスによる経済活動の停滞は、必ずや社会的なしわ寄せとなって、多くの人々に苦しさを強いるだろう。

サーカスのゴムまり小僧は、両親に死なれてサーカスの軽業師に預けられた子どもペーチャの物語である。ペーチャはそれは厳しく芸を仕込まれるが、最後には公演中に高所から落ちて亡くなってしまう。

物語の終盤で突然のように、伯爵家の兄妹がサーカス公演を訪れる場面が描かれる。伯爵家の人々もペーチャの落下を目撃する。

作者の意図は明白だ。このペーチャと伯爵家の子の違いは何なのだ!こんな格差があっていいのか?という憤りを感じてほしいのだ。

平等を掲げていた社会主義国は、だいぶいびつな体制ではあるが、中国、北朝鮮を始めとして、世界にまだいくつかある。しかし、それらの国に理想の実現を感じている人は、どのくらいいるのだろうか?

格差から眼をそらせてはいけない。おっしゃる通り。しかし、その解決の道のりは、まだ遠い霧の彼方にあるような気がする。