オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび43

名作を読む18

ノーソフ作「ピーチャの学校生活」を読む

読み続けている少年少女世界の名作文学には、ソビエト編というのがある。1990年代以降に生まれた方には、馴染みが薄い国名かもしれない。紛れもない世界最大の社会主義国家が1922年〜1991年まで69年間地球上に存在したのだ。

私は、社会主義というのは、性善説的に人間が自分自身で弱いところを克服できるはずという信頼の上に成立していたように思う。資本主義のようにあけすけに全てをさらけ出してしまわずに(もちろん困ったことや矛盾だらけであることは、現実を見れば明明白白)、人類の進歩を素直に信じ抜いていた気がする。もちろんその前提が崩れたから国がなくなってしまったのだけど。

以前に「車輪の下」について書いた時、学校で身につけられるもの以外に目を向けよう!とこのブログに書いた。「ピーチャの学校生活」は、算数が不得意な主人公ピーチャと国語が苦手なシーシキンの物語で、二人が苦手を克服していく話なのだが、要するに子どもには勉強が大切ですと説いている本なのだ。勉強することで夢が実現し、未来が開けると。

もう一つ、友だちどうしの協力やピオネール(少年団)の隊長ボロージャさんが、リーダーとしてアドバイスする場面が描かれて、ソ連の教育の美しい面が語られている。日本でも集団主義教育が一部でもてはやされていた時代をどことなく思い出す。戦前の教育から一転して、子どもたちにどうやって、協力や支え合いの大切さを教えたらいいのか?試行錯誤していた時代に、教師がすがりついた藁の一つだろう。

そして、今は何でもありの時代なのに、道徳を教科にして評定までつけようとしている。日本の現状をみると、教育がいつも右往左往していることがよくわかる。

ピーチャの学校生活は、昔ソ連という国があって、そこで目指していた教育の一コマを見せてくれる話です。