オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび64

名作を読む35

モーパッサン短編より「首飾り」

あらすじは、美しいが見栄っ張り、しかし裕福ではない役人の奥さんが、大臣主催のパーティーに出席することになる。普段の服ではイヤだと言い、まず亭主がへそくりを出して、高額なドレスを新調する。ところが今度はドレスに合う装飾品がないと言い出し、友だちにダイヤの首飾りを貸してもらう。功を奏してパーティーでも人気者。

ところがパーティーの帰りにダイヤの首飾りを落としてしまう。さあ、ここからが大変。探しても見つからず、代わりのダイヤの首飾りをとんでもない高額で買い、友だちに返す。しかし、このため大変な借金を抱えたので、10年間貧しい暮らしを余儀なくされる。オチは、10年ぶりに会ったダイヤの首飾りを貸してくれた友だちから、貸した首飾りは本物のダイヤではなかったと聞かされ愕然とする。

作者は登場人物の気持ちに寄り添うような書き方をしない。冷めた目線、自分の書いている物語なのに、まるで同情していないのだ。これが大作家モーパッサンたる所以なのかもしれない。