名作を読む47
リラダン短編を読む2
・白い象
動物園と文学と言えば、高村光太郎の「ぼろぼろの駝鳥」を思い出す。種の保存とか生態研究という名目はあっても、やはり動物園には動物の尊厳を奪い見世物にしている部分がある。人間がそれを見て、勝手に可愛がったり癒されたりしているのだ。私もその一人だろうけど。
ビルマで神聖な動物とされている白い象を生け捕りにしてくるイギリス人の話。白いままでは運び出せないので、白髪染めを象に塗りたくった。黒い象としてイギリスに運ばれたが、今度は白髪染めが皮膚から落とせず、何とも奇怪な色の像になり、しかも死んでしまったという話。
そもそも現地の人が崇めている象を騙して持って来てしまうのが、かなり悪辣だが、思えば世界に冠たる大英博物館にはセカイのあちこちから持って来てしまった展示品がかなりありますねえ。