名作を読む51
ザッパー作「愛の一家」 を読む。
音楽教師のペフリングお父さん、家事に忙しいお母さん、耳がよく聞こえないお手伝いさんのバルブルグ、七人の子どもは男の子が四人、女の子が三人、高校生のお兄さんからまだ学校に行ってないとエルザまで。
家具師の家の二階に住んでいて、階段をドタバタ上り下りする音や二階から聞こえる騒ぎに家具師の奥さんはいつもブツブツ言っている。
私も一応は教員のはしくれなのだが、お金持ちになりたい人は教員という職業を選ばない方がよい。教える生徒児童とのふれあいの中にお金には決して替えがたい喜びはあるが、公立学校の場合は、特別職という措置はあるけれど所詮は地方公務員である。しかも残業代はなく、最近話題になっているように勤務時間は無制限で、ほとんどブラック企業なのだ。それでも夫婦共に教員をしていれば、まあまあの収入だが、私などは一馬力だったので、ペフリング先生の境遇に共感してしまう。
雪合戦、音楽会、泥棒に入られるetc次から次へと事件は起こり、子どもたちはお叱言を食らったり、幸せな時間を共有したり、ハラハラドキドキの連続である。物語の最後の方でお母さんのお兄さんが一家を訪れ、兄妹の結束に感心する場面がある。愛の一家の愛とは、育まれてきた家族愛なのだ。
DVやら虐待やらで、児童相談所がてんやわんやになっている我が国だが、家族の結びつきってもう一度考え直してもいいんじゃないかな?とくに小さなお子さんがいらっしゃる家庭では。