オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび107

名作を読む64

サッカレー作「ばらと指輪」を読む。

 

この物語の冒頭に「紙芝居だと思って読んでください」という下りがあって、「?、紙芝居は日本独自の文化なはず」とか思いながら、読み始めた。どうやら初めに絵画ありきで、その絵を見ながら、あれこれ想像しながら物語ができたらしい。ファンタジーといえば、それまでだけど、かなりアップダウンの激しい筋書きになっている。

ばらも指輪も、それを身につけていると、見た人にとってその人が素晴らしい人に見えるというアイテム。この手の道具につきもので、だいたいが持ち主は悪い奴なので、困ったことが起きる。結婚話や王国の支配権をめぐる話が中心だが、ヒロインであるロザルバ姫だけは、散々な目に合いながらアイテムがなくても美しく、やはり苦労してきたギクリオと最後はめでたく結婚する話。

それにしても目まぐるしく物語の主導権が入れ替わり、短い話なのにストーリーが複雑なのは、作者がイギリス人ということと無関係には思えない。一捻りふた捻りする妙なサービス精神を感じるのだ。それはイギリス発のポピュラー音楽でも言えそうだけど。