メンタルハーモニーって何?
男声合唱団のスローガンなどで目にする言葉が、メンタルハーモニー。本家本元は我が国の合唱文化発展の礎となり、また現在もリードし続けている関西学院グリークラブ。私の母校横浜国立大学グリークラプもよくこの言葉を使っていた。
元来がへそ曲がりなので、この言葉を聞くたびに「なんのこっちゃ?」と感じてきた。ハーモニーつうのは、協和性の高い音同士が整数次倍音を響かせたときに感じられる音響のことで、そもそも物理的な必要条件が決まっている。
合唱の場合は、発音=発声なので、構成メンバーがハモるための条件を理解して、声を合わせなければ、ハモらない。これだけのことなのだ。
けれどその体験を通して、友情が芽生えるとか、一体感が生まれるとか、結果としてそんなことがあってもいいだろうが、それは必要条件ではない。だって一期一会的に集まったアンサンブルでは、クオリティーが高い表現を求めるだろうけど、別にメンタルハーモニーとかなくたっていい。
むしろメンタルハーモニーのために何か犠牲にしなければならないものがあるとすれば、それは音楽表現の深化のためにだけ許容されるべきだと思う。