オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび123

名作を読む71

クーパー作「モヒカン族の最後」を読む。

ネイティブ・アメリカンに対しての理解は、例えば本書の主人公であるモヒカン族の戦士の髪型が、モヒカン刈りとして現代のファッションとして伝えられていたりするが、モヒカン族がどのような運命を辿った人々であるのか。その理解は十分ではないと思う。

我が国に於いても、アイヌ民族とヤマト政権あるいは江戸幕府との対立が、丁寧に教えられていない現状と似ている。歴史はマイノリティー側の視点を失った瞬間から偏った見方に堕してしまうのだ。

ストーリーは、ヒューロン族に囚われた娘二人を救出するストーリーなのだが、そもそもこの二人の娘を父=マンロー司令官のに会いに行きたいとかいう理由だけで戦場に近づけた判断が大間違いなのだ。戦闘に参加できず、自力で防衛できない者は、戦場に居ては絶対ダメなのだ。だからこそ無差別な爆撃は絶対あってはならないし、それ以前に戦争行為そのものがいけないのだが。

モヒカン族最後の酋長アンカスは、とても勇敢な男だった。どちらかと言えば悪者に描かれることが多いネイティブ・アメリカンのヒーローではある。卑怯者のずるぎつねと闘い、最後は二人とも命を落としてしまうが、悪事を赦さぬ姿勢も好感度が高い。しかしながら、結局、この冒険全体としては白人によるアメリカ支配に協力しただけではなかったのか?開拓者精神とやらが好きなアメリカ人にはよく読まれたようだが、私には何となく歴史観がこれでいいのか?と疑問が残ってしまった。

なぜなら21世記、最強の国を自負しているアメリカ人が、我が物顔で世界を席巻する有様というかその精神が、この物語が書かれた時代から続いている気がするからなのです。