オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび124

名作を読む72

カールトン作「あの山越えて」

いたずらっ子ではあるけれど正直者のジョニーと子どものよさをどこまでも信じ、愛し続ける母親メリーの物語。

話は大きく2つに分かれており、前半はジョニーの小学生時代。ジョニーは男の子を狙ったパチンコを間違って先生に当ててしまう。そのあと、黒板に先生の似顔絵をいたずら書きした弟の罪も、自分がかぶり、先生に鞭で打たれる。帰ってからも怠け者の父親に殴られる。けれど母親のメリーだけはそんなことをするはずがないと信じている。

後半は主人公が大人になってから。今度は馬泥棒をした父綾の罪をかぶり、懲役3年の刑で牢獄に繋がれてしまう。自首しようとした父親も追い返してしまうのだ。この時も母親からメリーは何かの間違いに違いないと思っている。

獄から出たジョニーは、前科者なので地元では職が無く西部へ向かう。その間、老いた母は一人っきりになり、兄弟の家に厄介になるが、最後は「あの山越えて」養老院に入るのだ。

やがてジョニーが仕事に成功して西部から戻る。母親を迎えに行き、ずっと待っていたイザベラとも結ばれるところで話は大団円となる。

母子に限らないだろうが、誰かを信じ続ける尊さ。また自分が犠牲になってでも、誰かを助ける気持ちが、物語全体に流れている。