オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび127

名作を読む75

メリメ作「マテオ=ファルコーネ」を読む。

メリメによるコルシカ島の物語、コロンバにも出てきたけれど、コルシカ島の人たちは思い込みが半端ではない!というのがメリメの見立てのようだ。

息子フォフチュナトは、まだ10歳の子ども。憲兵に追われているお尋ね者を枯れ草の山にかくまう。ところが追ってきた憲兵ガンバの差し出す時計に目が眩み、隠れた場所を教えてしまうのだ。

父親マテオにとっては、コレは許されない裏切りであった。マテオは、息子を連れ出し射殺してしまう。

今の世ならとんでもない犯罪であるが、メリメはマテオの行為をコルシカ島の人たちが好意的に受け止めたと書いている。子どもの人権も何もあったものでない。

子どもを守る仕事?をしていた私としては、許しがたい。けれど、家庭に翻弄され、本人のよさが十分には発揮できない事例も、いくつも見てきてしまった、家庭が抱える問題に踏み込むためには、今の児童相談所はあまりにも人が足りないし、学校は他の問題に振り回され過ぎて、どこか及び腰なのだ。

子どもの幸せを社会の正面に据えることなくしては、私たちに明るい未来はない。