オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび151

名作を読む77

ブレンターノ作「ゴッケル物語」を読む。

主人公ゴッケルは元伯爵でしたが、戦争で城が壊れ、今は王様に、ニワトリとキジの飼育係として使える身です。ところがある時、ちょっとしたことで王様の怒りを買い、お城を解雇されます。向かった先は荒れ果てた自分の城。

付いてきたのは、奥さんと幼い娘のガッケライア。それに雄鶏のアレクトリオと雌鶏のがリーナです。

この雄鶏アレクトリオが曰く付きで、砂袋に魔法の指輪を隠していて、この手の話にはつき物の、この指輪を狙っているユダヤ人三人組がいる。

ところで日本にいると実感が乏しいのだけど、なぜこれほどまでにユダヤ人に対する差別や偏見が付き纏うのだろう。今のイスラエルと周辺国の関係も修復への道筋が見えないが、歴史的にヨーロッパ社会でこれほどまでの仕打ちを受ける理由が、極東の島国にいる私には分かりづらい。実際、世界経済はもちろん、音楽など芸術分野でもユダヤ人の活躍は、群を抜いてすごいのに。ユダヤ教徒として教育に力を入れて注ぎ続けてきたことも、活躍を支えているのかなぁ。

魔法のアイテムが出てくると、目まぐるしく話が急展開するのはお決まり。ゴッケル親子は貴族に戻ったり、こじきになったり、またまた貴族になったりの慌ただしさだ。話が二転三転するのは、指輪の持ち主がユダヤ人から、ゴッケルが以前助けたねずみの王子ブフィに変わるからでして。最後は子どもに変えられた登場人物たちが、アレクトリオのことの顛末を聞いている場面でおしまい。聞いていた子どものうちの誰かが、お話の作者というわけです。