名作を読む78
ドーノワ夫人作「森のめじか」を読む
若く美しい王女、凛々しい王子、魔法使い、王女の立場を狙う母娘、仙女…。おとぎ話のオールスターゲームのような話です。
カニの魔法使いのせいで、15年間、陽の光を浴びてはならないデジレ王女が、お付きの王女の立場を狙っていたロングビーヌ母娘に馬車を壊される。そしてとうとう陽の光を浴びてしまい、白いめじかに変わってしまう。
ところが、めじかになったデジレ王女は、やはり偽の王女に憤懣やるかたないゲリエ王子と森で出会い、王子もめじかが王女であることを知る。何故か魔法が解けて、二人が結ばれるという話。
フランスでは、女性により作られた童話が、よく読まれているという。おそらくは小さな子どもやあるいは孫たちが、物語をせがむようにして聞いたことだろう。また語り手も子どもたちが喜ぶように、あの手この手で話を面白くしたに違いない。子どものための物語は、豊かな想像力を羽ばたかせて、ハラハラしながら聞き、最後には安心して幸せな気持ちで終われば、それが童話本来の姿なのだろう。