オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび162

石平「なぜ中国は派遣の妄想をやめられないのか」を読む

 

中華思想とか中華秩序が、如何に長い時間を経て醸成されてきたか?を語る。なんと秦王朝前漢の頃から、辿っているのだ。そして、中国の皇帝や指導者たちが、どれだけ中華思想にマインドコントロールされてきたか?を丁寧に語る。

その中で、恥ずかしながら今まで知らなかった歴史が二つ。一つはベトナム史で、中国はとにかく周辺国へ覇権を広げることに熱心だったのだが、ベトナムは、ことごとく反抗し、中国からの独立を守り抜いてきたということだ。フランスが近代兵器を持ち込み、植民地化された時は軍事力の差が圧倒的だったのだろう。

もう一つは、太平洋戦争中、開かれた大東亜会議。中華秩序を徹底的に破壊したのは、実は日本でして、大東亜帝国の実現をもって、日本が当時は中国のごときアジアの覇者を目指していたことがわかる。アメリカの怒りを買ったのは、法や正義が通らない理不尽な侵略によってである。

 

著者は中国に生まれ、日本に帰化した民主運動家だが、日本に身を置きながら現在の中国の抱える矛盾を鋭く指摘している。そしてこの本が出版されてから早5年。その矛盾はさらに病巣を拡大している様に見える。