オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび164

「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」第三章 是枝裕和

 

印象的な講演と対談。是枝さんは、何と対談だけだと思ってやってきたらしく、初めの方でそれを詫びているのだけど、用意がないのに話し始めている。

まずテレビマンユニオンのディレクターだった頃の体験談が出てくる。まったく予想していたシナリオと違う流れになってしまった取材の話。先入観が干渉を受けた時におもしろいと感じるのは、もともと自分に堅い世界観がないと起こらないという話になり、谷川俊太郎さんの言葉が引用される。「詩というのは、自分の内側を表現するのではなく、世界の側にある驚きが詩になる」

もう一つ、眺めると見るの違いが話題になる。是枝さんは、こども映画教室に関わっていて「カメラは世界を発見する道具」と感じると言う。歌になるのも普段のものの見方・眺め方を外すことなのかな?

最後に永田和宏さんが是枝映画に悪を裁く視点がないと指摘したことに対して「悪を排除して解決できることなんて大した問題ではない」と答えている。是枝裕和さんの人間観が伺える。