オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび205

早見和真「6 シックス」を読む

 

この短編集は東京六大学に対するステレオタイプに満ちた話で、またそれが前提になっている気がする。本当は6つの短編の登場人物は、実は東京六大学と関係なくても描けるのだが、それぞれの軌跡が交錯する点として、例えば早稲田のエース星投手が設定されており、何となくタグとして大学名が使われたのではなかろうか?解説の大越さんは自身が東大の投手だったので率直に喜んでいるが、就職活動で喘ぐ明治の学生の描き方は少し酷な気がする。

というわけで、六大学という肩書きなしのドラマとして読む方が、作者が描きたかったテーマがよく見える。個人的には、法政のマネージャーストーリーが好きだ。花形というか、目立つ存在がいる影にこそ、本当の主役が隠れているのだろう。