オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび220

石弘之、安田喜憲、湯浅赳男「環境と文明の世界史」を読む3

 

新たな土地への移動。大航海時代、新大陸への移動、植民地・帝国主義など、さまざまな歴史があるけれど、ここでは古代ローマ帝国の話。年間降水量によって、農耕が可能か否かが決まるが、それ以上に耕作を進めれば土地は持たずに疲弊する。二圃式農業を工夫したが、限界だったようだ。そこで地中海沿岸の乾燥化に伴って、アルプスの北へ進出を試みる。けれども、森林を伐採し、新たに畑を開墾する労働力をどう確保したのか?その答えが奴隷だった。

スレイブ=スラブ。う〜む発音がそっくり!その他北欧からも奴隷ご集められた。ローマ帝国による奴隷獲得のターゲットだったのだ。かくして奴隷の労働力を使って地中海世界からアルプスの北へ進出した。ヨーロッパの歴史の暗部ともいうべき歴史はあまり語られることがない。リーダー、先導役は教会の修道士であった。

やがてイスラムが成立するとユダヤ人が奴隷商人としてキリスト教世界とイスラム世界を行き来する。ユダヤ教であるが故に、当時は二つの宗教世界を行き来できたのだ。

麦づくりの文明と比べて稲作文明に奴隷は発生しない。本書では、栽培の過程が麦に比べて一手間も二手間も必要で、奴隷を維持できないからと語られている。