オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび283

鈴木大拙著 北川桃雄訳「禅と日本文化」を読む2

 


禅と美術

初めに禅が美術に及ぼした影響として、侘び寂びが語られる。水墨画では南宋の画家馬遠による一角様式の影響など。非対称、釣り合いが取れない表現に理詰めの西洋美術とは違う世界があると語ります。わざと画面に何も描いていない広い空間が残してあることに禅の影響があるのだそうです。

 


禅と武士

続けて鎌倉武士。北条時頼時宗父子に始まる武士と禅の関わり。迷いを捨てて自分が心に決めたことへまっしぐらに進む生き方をサポートした禅。功罪半ばするけれど、その精神性は今もどこかで流れている気がします。

この章には、柳生但馬塚原卜伝武田信玄上杉謙信など名だたる武人と禅の関わりが語られますが、謙信の危険極まりない戦い方は決めたことへまっしぐら一直線精神が現れているように感じます。

章は刀が主題となり、活人剣と殺人剣。まさむねと村正のエピソードなどが語られる。思うに幕末の人斬り志士をはじめとし、歴史上剣を単に殺人

剣として用いた者の何と多いことか!

 


禅と剣道

流れるように話題は禅と剣道に移る。柳生但馬に沢庵和尚が説いた書諭が引用され、心を止めないことの大切さ=分別知の有害が説かれる。

無心の境地を詠った嵯峨天皇の歌

うつるともつきもおもはず

うつすとも水もおもはぬ 広沢の池

剣道の奥義「水月」とは、この月や水を眼前の相手やその心に置き換えて読むことで、少し理解に近づけるのだろうか?