オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび299

森正人「大衆音楽史」を読む2

 


黒人霊歌が広く知られるようになるのは、混声合唱団ジュビリーシンガーズの活躍を追いかける必要がありそうだが、本書ではまずアメリカに連れてこられた(三角貿易)黒人によって生まれたラグタイム・ブルース・ブギに注目している。

そして、バディ・ポールデンによるバンド結成から始まるジャズ。クラシック・ブルースのベッシー・スミス。スウィング・ビッグバンド化への変化で欠かせない名前がフレッチャー・ヘンダーソン

本書の特徴は、大衆が愛した音楽の歴史的な背景や当時の社会状況、階層構造を丁寧に追いかけているところであります。章はロックンロール、パンクロック、レゲエ、モータウン、さらにはヒップホップまで続く。音楽のスタイルや生まれた場所は違うけれど、やるせない反抗心を音楽に託す傾向が綿々と繋がっていることがわかる。

けれど著者は言う。原点にこそその音楽の本質があるとは語らない。音楽が資本により商業化され大衆に世界に受け入れられていく中で、音楽が生まれた原点や要因は希薄化さてしまうと。

私は、それが大衆音楽のある意味宿命だと思う。日本だって演歌は、元々自由民権運動の応援歌だったのに、まるで意味が変わっているように。