オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび314

戸井十月植木等伝 わかっちゃいるけど、やめられない!」を読む1

 


植木等の等は、父親が人々は皆平等であるべきだと考えていたことから名付けられている。つまり芸名ではなく本名なのだ。父親の生き様を短くまとめるのは至難の業だが、等が生まれた頃、父親は僧侶だった。だから等自身も子どもの頃からお経をあげることができたし、上京してお寺で修行している。だから芸能界に入ると言い始めた時に、「坊主は死んだ人間を供養する。芸能人は生きた人間を楽しませる」などと見栄を切って、身内から怒鳴りつけられたり泣かれたりしたのは何となくわかる。

ここで等の関係者として萩原哲晶という、すごい人についてふれないわけには、いかない。東京音楽学校(東京藝術大学)出身で、團伊玖磨芥川也寸志と軍楽隊で同僚であった彼は、のちに青島幸男と組んで、クレージーキャッツのヒット曲を量産する。奇行エピソードにも事欠かない方で、まったく掴みどころがないというか、失礼ながら天才とナントカは紙一重というのは萩原哲晶のような人を言うのだろう。すごい人です。

ジャズピアニスト、ハンプトン・ホーズが登場し、横浜のクラブで植木等秋吉敏子とセッションしたエピソードが出てくる。駐留米兵だったのだ! 超一流のピアニストとのセッション! 日本在住時の音源があればぜひ聴いてみたいな。