オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび315

戸井十月植木等伝 わかっちゃいるけど、やめられない!」を読む2

 


月給制の渡辺プロダクションに所属して、クレージーキャッツが少しずつ売れ始めた頃、フジテレビ「おとなの漫画」という運命の出会いがある。当時はまだ無名の若手放送作家青島幸男と出会うのだ。この番組のプロデューサーは、すぎやまこういちさんだから、いやはや後世名をなすいろいろな人が出てきます。ちなみに青島幸男すぎやまこういちは、中学の同級生!

話は、猛スピードで時代を走り抜けていく植木等を語る。ご存知の通りテレビにレコードに舞台に映画に、クレージーキャッツ植木等は日本中の人気者になる。映画出演の凄まじいエピソードなど、よく大怪我しなかったなぁと思わせるような内容。無類のタフネスの運動神経で乗り切ったのかなぁ。やがて絶好調のクレージー時代を終えて、名俳優としての道を歩み始めるが、黒澤明を怒鳴りつけた場面が、小気味良い。甘ったれた泣き言をこぼす人間には、相手が誰であれ厳しく叱りつけることができる人だったのだ。

 


最後の方で、父親からの教えとして六方拝が紹介される。東西南北天地のそれぞれの方角へ自分を支え育ててくれた人への感謝を表す祈りらしい。もう一度生き直せるなら、お寺を継いでお坊さんかなぁと答える場面がある。

大スターであるけれど、植木等にゴシップはない。酒は飲まない。豪遊しない。至って生活スタイルは質素。大スターの魂の奥に仏門にも通じる精神性を、私は感じてしまいました。