オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび326

石井公成「ものまねの歴史」を読む2

 


唐から伝わった散楽は、やがて猿楽というモノマネ芸に変化していく。猿を始めとする動物の仕草を真似たり、滑稽な寸劇が演じられていたのだろう。軽業、手品、曲芸、歌舞音曲などとセットで一つの舞台になっていた。それで一つの興行。その演劇部分が、神社と縁のある田楽やお寺のイベント延年=風流と統合し、観阿弥世阿弥の頃、現代の能になっていく。そもそも能は明治以降の呼び方で江戸時代までは、猿楽と呼んでいた。田楽や延年が現在ほとんど演じられないのは寂しい。世阿弥の功績が偉大だったため、人々の関心が猿楽に集中してしまった結果なのだろう。

すっかり大成した感のある能や狂言も、しっかりとモノマネ芸としての要素を残している。

 


ところで平安の頃、琵琶法師とその真似をする人も登場する。源平の戦いの前なので当然平家物語はない。けれど琵琶法師は、琵琶を携えて何やら語っていたらしい。その中にはウケ狙いの面白い内容もあっただろう。方や皇室の帝位灌頂に用いられた楽器としての琵琶がある一方で、庶民に囲まれ座して奏する琵琶があったのだ。