オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび327

石井公成「ものまねの歴史」を読む3

 


真似る対象さえあれば、モノマネ芸は成立する。それを追いかけようとする本書の試み自体が、博覧強記的な結果を生むのは必然であろう。やがて歌舞伎や落語、現代のモノマネ芸に筆を進めていく。

それまではモノマネ芸が、どのようにお芝居に変化していったのか? を辿っていたのだけど、江戸時代になると、モノマネ専門のスペシャリストが出てくる。狂言など他の演目とも独立したモノマネ芸というプログラムが現れるのです。中でも人気者だったのが又男三郎兵衛。

人気役者のモノマネも盛んになる。役者は個性的であってナンボの存在で、その特徴をウリにしているのだから、素人にでさえマネがしやすかったのだろう。そしてモノマネ師が登場する、、その声色は実際に舞台に接することがない地域への格好の宣伝にもなった。さらに山東京伝文、歌川豊国絵による声色のマニュアル本まで売り出される。

歌舞伎同様、江戸時代から今も人気を維持している演芸に落語がある。その話の仕草やネタそのものがモノマネを柱に組み立てられていたことは容易に想像できるだろう。