オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび328

雨宮国広「ぼくは縄文大工」を読む1

 


住みやすいと思わせるような縄文小屋への想い。日本列島に人が住み着いて10000年以上いやもっと? その前半8000年は縄文時代。その長い期間「持続可能な生活様式」で人々は暮らしてきたのだ。住まい然り。この本の前半は能登に縄文小屋を三年がかりで建てる話。著者は大工さんだから、まず手斧という道具の話が出てくる。カンナやノコギリやカナヅチなどの鉄器がない時代、この手斧で木を倒し、切り削っていたのだ。使った木材は意外なことに広葉樹の栗の木。法隆寺などにケヤキが多くて用いられているからてっきり針葉樹だと思い込んでいた。株から切るとそれっきりの針葉樹に比べ、広葉樹はひこばえが芽生え、何度も再生可能なのだという。通勤途中に栗木という場所を通過するのだけど、栗の木の使われ方が今とは違っていたのだろう。

木は、ほぞとほぞ穴を組む。ところが寸法がない、そもそも基準がない。そこでお互いに合うように且つ楕円形で遊びが生まれるように組み立てるのだ。さらに土台もボルトなどないので石の上に柱を置くだけ。けれどこれで倒れないという。

何でも基準を元にして、固定するばかりが、正しいとは限らないよ! と諭してくれているようだ。

さらに藁や竹を敷いた床、土壁の強さ、天井について、古民家修理に関わった経験からそのよさが語られ、現代の方法や素材では生産と再利用に莫大なエネルギーがかかり過ぎると説いている。

明日から縄文小屋に住みましょう! というわけにはいかないが、今住んでいる家の耐用年数とその先、子どもや孫の世代に何を残せるのか? 考え始めるきっかけにしてもいいでしょう。