オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび341

立川談志「現代落語論」を読む1

 


1965年12月6日が第一版第一刷で、今手にとっているのは2011年の12月7日第二版第二刷、それだけで、この本が多くの読者を得てきたことを思わせる。

笑わないのが、いい客だ! と談志師匠は言う「笑いを求めてくるから笑わせて帰す。それでもいいけれど下手にこれを繰り返しているとだんだん笑いの量で勝負するようになり、誰にでも子どもにでも分かるような笑いをふりまいているうちに、ラセン階段を下るごとく、だんだん笑いの質が低下する。」

これ、56年も前の本ですぞ! 笑いに限らず、話の哀しさや情感を伝える表現については言うに及ばずですね。自分に引き寄せれば、鎮魂の調べを歌い奏でる琵琶楽が下火になるのも無理はないのでしょうか?

笑い・可笑しさ・ユーモアなど、本当は感情の襞にいろいろな振幅・強弱・ニュアンスの違いが隠されていて、それを伝える言葉を持っていたはずなんだけど、ただガハハと笑うだけがお笑いになってしまっていないだろうか? その辺りにも警鐘を鳴らしている気がする。