オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび353

名作を読む81

フィールディング作「トム=ジョーンズ物語」を読む

 


物語の筋とまるで関係がないのだけど、横浜市には三日里親という制度がある。いろいろな事情で家族と離れて施設で暮らしている子どもに家庭的な雰囲気を体験してもらおうという趣旨で、もう二十年ぐらい前になるかなぁ、応募して一人の子と関わった経験がある。分を弁えなかったことを反省していますが、今は何をしているかなぁ。

さて、主人公のトムも本当の親には育てられていない。

美しい嫁、美男子の婿、財産、屋敷、地位などの価値と有り難さが、ある時代までの物語にとって必須アイテムであったし、それを読んだ大勢の読者にも自動的に刷り込まれてしまった。この話も有閑マダム的な貴婦人とのしがらみや美しいソフィアを巡るやり取りを経て、最後にはイケメンの主人公が思いを遂げるサクセスストーリーになっている。

けれど、ついこの間まで日本人も、結婚相手を選ぶなら3高なんて言っていたのだから、スタイル、財産、履歴などを価値あるものと捉える呪縛から解き放されているわけではなさそうだ。これまた自分からは遠い世界だけど。