オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび362

名作を読む88

モンゴメリー作「赤毛のアン」を読む

 


今回は「赤毛のアン」。言わずと知れた不朽の名作ですね。この感情の振幅が大きく、想像の世界に没入しがちなアンに読者は共感し、アンといっしょに泣いたり怒ったりするわけです。

だいたいこの話には、失敗談が多い。アンは作者モンゴメリーの分身だから、作者自身にも似たり寄ったりの体験があるのだろう。例えばこんなエピソードが出てくる。親友のおばさんが旅疲れで深夜寝込んでいるベッドに女の子二人で飛び込んでしまう。リンド夫人は諭す。「あんたがあんまり不注意で、すぐなんでもするからなんだよ。」「でもそれがまたいちばんいいところなのよ。なんかわくわくすることが胸にひらめけば、早くそれを出してしまわなくちゃならないんですもの。」とアン。「少しは考えるということを、おぼえなくてはなりませんよ。転ばぬ先の杖というんだよ。」いやはや60代も半ばにして、未だにおっちょこちょいな私には耳が痛い。けれど不注意と紙一重の活発さがみんなは大好きなのだ。少しサザエさんに似ているけど。

登場人物で私が好きなのはマシュウとマリラ。この二人の兄妹がアンの育て親なのだけど、ちょっと屈折した二人の心理描写が実にいい。ずっと笑いながら読んでいました。