オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび363

名作を読む89

オー=ヘンリー短編集を読む

 


起承転結のうち、キモは「転」。4コマ漫画だって3コマ目からが勝負だ。結まで引っ張らないで、転のまま終わるのもあり。うんと若い頃にシナリオセンターで教わった記憶が蘇ってきた。

この短編集にはご存知のクリスマスプレゼントを巡るすれ違い物語の「賢者の贈り物」や「最後の一葉」などがあるのだけど、個人的には「改心以上」が好きだ。

銀行強盗の前科がある主人公が、堅気の靴屋を始めて美しい婚約者を得て、幸せの絶頂期の中、金庫に閉じ込められてしまった女の子を救うために金庫破りの術を使うのである。しかもそこには彼に目をつけている名探偵が来ている。人は誰しも少なからず過去の行動におけるやましい罪の意識に苛まれている。物語で言えば、みんな誰もが少なからずレ・ミゼラブルジャンバルジャンなのだ。

名探偵は、女の子を助けた主人公を称えるように、二人を馬車に案内して、話は幕切れとなる。

オー=ヘンリーの短編は、どれも運命に弄ばれる人々を描いている。平凡な日常を送っている人々だって、偶然現れる運命とは決して無縁ではない。人生は山あり谷ありなのだから。