高秀秀信「元気都市ヨコハマを創る」を読む1
およそ30年前、個人的にはようやく結婚し子どもが生まれ、音楽の先生になってしまった、もとい、やらせていただいた時代が、高秀市政の10年と重なっていた。巨大なサッカースタジアムやみなとみらい地区の建設を推進して、各区には地域ケアプラザを設置。ボクには「行政は入れ物を作るから後はお好きなようにどうぞ・・」という箱もの行政の典型のように感じていた。
ところがどっこい、そんなに前からそんなことが考えられていたのか! と驚かされるような発想が本書には出てくる。ホロニック・パスという大平総理の時代に政策研究会で語られていた概念など、実に興味深い。そしてその発想の延長線上で高秀さんは、循環型社会システム検討委員会を立ち上げる。まだSDGsとか声高に叫ばれる前、30年近く前の話なのです。
オピニオンマイノリティーとのパートナーシップについても本書で話題になっている。若者が乗ってしまい、障害者が使えなくなったエレベーターやシルバーシートを差別と感じる人の例などが出てくる。最近も横浜市ではカジノを含むIRの是非が市長選挙の争点になったのだけど、前任市長が突然IR推進を言い始めた根拠や現在の横浜市の財政状況について充分な資料が出されて、語り尽くされたのか? 何ともすっきりしない面が残ってしまった気がする。
(つづく)