オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび409

渡貫淳子「南極ではたらく」を読む

 


南極で越冬すると言うと、禁欲、節制、苦難・・など様々なイメージが勝手に湧いてきてしまう。けれど筆者のキャラであろう。食材量など制限の多い調理という仕事にも前向きで、隊員に喜んで食べてもらいたいと言う気持ちが感じられる。本書の中にレシピが紹介されているけど、どれも無駄を省いた究極のエコ料理のように思えてくる。

エコと言えば、光熱電気・食糧そこまで使わなくても間に合うはずじゃない? が基本だと思うのだけど、南極生活では初めから使えるはずあるはずのエネルギーや物がないのだ。だから文中サバイバル的な雰囲気やある意味極限生活に近い状況を感じてしまう。

年配者との喧嘩もあれば、憶測で判断して報告を怠った失敗もある。筆者は感情が高ぶると良く泣く人のようだが、だからこそこの本の中に、それぞれの局面に遭遇した筆者の気持ちが表れているのでしょう。

南極に限らず、宇宙空間や深海、人類がまだ通常の生活を送ることが困難な場所は多い。いや、それは逆で人類が快適に生活できる場所は、実はほんの僅かな空間でしかないのだ。温暖化現象がそれを広げてくれるとは、とても思えないわけで、私たちは今使える資源を無駄なく使っていかなければ、未来はない。そしてその知恵は南極のような極限で生活した人々から学べるのかもしれない。