オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび417

マルクス・ガブリエル他 斎藤幸平編「未来への大分岐」を読む2

 


こうしてブログを書き込んでいることに、私は搾取されている感覚があまりなかった。けれど私の書き込んだ内容をAIで分析すれば(多分誰もしないとは思うけど)、私個人の傾向や資質が抽出され、結果大して役にも立たない人であることがわかるだろう。企業あるいは組織は、個人を歯車の一部として使い切るために、個人の知識や能力をできる限り搾り取った上で、マニュアルを叩き込んで使いこなす。これがAI時代の到来によって、よりスピーディーに無駄なくできるようになってしまったのだ。そのうち個人成長歴や思想傾向など全てがデータ化されて、どこかに置かれ、利用尽くされる時代が来るだろう。本書でのハートと斎藤さんの対談は、その現実を搾取として危惧している。

対談の最後の方で、バルセロナ市を例にミュニシパリズムの話が出る。対談の初めにリーダーについて論じていた二人が、最後に地域における政治と社会運動の関係に戻るのは興味深い。何を言っても無党派層の増加を止められないし、若者の投票率も上げられない現実を見れば、人々が実際に動いている現場をどう支援していくか、ミュニシパリズムの取組は地に足をつけている気がした。