オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび430

堀内隆行「ネルソン・マンデラ」を読む1

 


本書のキーワードは和解。

マンデラは、ガンディーの影響を受けた非暴力主義というイメージで捉えられている時があるけれど、本書ではマンデラの非暴力主義はあくまでも戦術の一環に過ぎなかったとしている。クリスチャンとしての信仰も共産主義に接近した立ち位置と矛盾しており、さまざまな葛藤を抱えていた人物であることを解き明かしている。だからこそ実際にMK(民族の槍)で武装闘争を開始するはるか前からM計画というプランが存在したのだ。(Mはマンデラの頭文字)爆弾を用いるテロは、死刑にあたる。法廷での演説によって終身刑減刑されたが、その後彼はロベン島での長い服役の時代に入る。

 


なぜ、今自分がここでこのような状況下に置かれているのか? を知るために、歴史を学ぶことは有効であります。マンデラの置かれた境遇を説明するために、オランダやイギリスによる植民の歴史が語られます。そしてマンデラは、テンブ王国の王家の出身で、当国の摂政の庇護のもとに少年時代を送っているのです。マンデラは自分を演出することが上手く、王家の出であることや高級スーツや民族衣装を着こなした姿をTPOに応じて巧みに使い分けている。常に聖人イメージが付き纏うガンディーとは好対照ですね。離島での服役中、彼は看守と親しくなり感化させていきます。看守はオランダの植民の子孫=アフリカーナーです。マンデラは彼らがイギリスとのボーア戦争に敗れた歴史と、自分の闘いとを重ね合わせて説くのです。その結果、囚人たちは集会の自由を獲得します。この辺りが、やはりすごい人だなぁ。