オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび432

斎藤文彦「忘れじの外国人レスラー伝」を読む1

 


まだ若い頃プロレス好きの同僚と一緒に新日本プロレスを何度か観に行った。場外乱闘になってビックバンベイダーが近寄ってきた時は、正直怖くて、友人を押し倒して逃げてしまった。ごめんなさい。

有名なプロレスラーには、日本のファンが名付けた愛称がある。本書に登場するレスラーなら「神様」「白覆面の魔王」「大巨人」「人間風車」「爆弾小僧」プロレスファンなら誰のことか、すぐ思いつくだろう。彼らは日本のプロレスファンを愛し、何度も何度も日本に足を運んだ。ビル・ロビンソンのように高円寺に長期滞在して、ジムのコーチを続けるという人もいたりして。

リング上のファイトがギミック見え見え、本当の強さとは違う政治力学的な駆け引きがものを言うアメリカのプロレスに比べて、日本のプロレスには、そこそこ鍛えた力を誇示できる場があったことが彼らを日本に惹きつけたのかもしれない。日本には古武道を始めとして、真剣勝負の要素を残した武術がまだ残っているのだから。

私は「プロレスは八百長」という通説に反論はしない。たしかに越えてはいけない暗黙の了解があるし、型通りに終わるケースも多い。ツワモノ同士の対戦ではリングアウトや反則負けなど。けれどそれがわかっていても鍛えた身体が躍動する姿にファンは歓声を上げるのだ。