柄谷行人「倫理21」を読む3
話は責任論に移り、ナチス、日本の戦争責任がどのように問われたのかを辿っていきます。天皇の戦争責任〜非転向の共産党員へと。その中で棄権にも政治的な責任があり、吉本隆明の「無知にも責任がある」が、刺激的です。
戦争責任は国際法の観点からのみ生じる。これが筆者の立ち位置です。戦時中の日本軍による虐殺、米軍の原爆投下etc 責任が公共的合意とやらで曖昧になってしまうことに厳しい目を向けています。
あとがきのフロイトの言葉「知性が欲動生活に比べて無力だ」ということをいかに強調しようと・・知性の弱さは一種独特なものなのだ。知性の声は聞き入れられるまではつぶやきを止めない。しかも何度か黙殺されたあと、結局は受け入れられる。本書が希望の書でありますように、その願いを他の読者と共に私も共有したい。