オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび466

野口雅弘「マックス・ウェーバー」を読む2

 


ウェーバーは「魔法が解ける」という言葉をよく使った。今まで分からなかった現象を数式や一定の法則で解けるようになったことは、社会の近代化を大きく後押しし続けている。ところがウェーバーの思考は、宗教へと向かう。魔法が解けたあと、生きる意味を求めた人々は再魔術化を呼び込むのだ。

ここで本書では、ようやくウェーバーの音楽への関心にふれる。ボクが学生時代に「何じゃこりゃ?」的に落ちこぼれた部分であります。この西洋の機能和声を支えてきたのは、転調自在の平均律だけど、世界各地の音律は5度の重なりから、また4度の中の音の位置で決定して生まれているのだけど、問題なのはピタゴラスコンマの処理。これをどう扱ったかで、洋の東西それぞれの音楽の特徴が生まれたと考えたらしい。音楽と人々の関わりではなくて、純粋に音階の仕組みと向き合い論じたところが、まだ若気の至りで私にはついていけなかったのですね。

宗教社会学に戻ろう。ウェーバーは世界の宗教を、現世肯定=ご利益型宗教と現世否定=救済型宗教とに二分している。もう一つ基準があって、禁欲か瞑想=神秘的合一か? です。現世肯定の教えとして、儒教が登場する。いかに生きるべきか? 原罪だとか言ってないのでポジティブシンキングを感じるし、儒教世界ではヨーロッパのように宗教戦争もない。そして日本のエートスについては、封建制の構造から説明されている。日本人の行動様式を宗教との関連で語ることは、やっぱり難しかったのかなぁ。