オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび469

下重暁子「天邪鬼のすすめ」

 


天邪鬼という言葉は、NHK名古屋放送局野際陽子さんと同僚だった時代、野際さんと同じことを真似しようと思っても仕方がないと感じたところで、初めて登場する。

二回目は、東京放送局の頃、海外に行きたかった場面。三回目は「私は人が仕事をしている時に遊び、人が遊んでいる時は仕事をする天邪鬼である」四回目「猫が呼んでも決してまっすぐに来ないように、途中で遊んでみたくなる。天邪鬼なのだ。」ボクが思うに下重さんは全然天邪鬼ではない。自分の心の内側と相談して、それに素直なだけだと感じてしまう。むしろ昔、例えば戦前の価値観と照らし合わせた場合に、80年前なら天邪鬼と呼ばれたかもしれない気はしますが。

本書は、幼少期から出会った人々、取り巻く環境について順を追って書き進めているが、瞽女小林ハルさんとの出会いで「語りに感情を入れてはいけない」と教わり、NHK鈴木健二アナウンサーに「自分の見たこと自分の考えたことを自分の言葉で話しなさい」という箇所が印象に残る。

予定に縛られ過ぎて、予定通りに進まないことに苛立つボクを含めた日本人に役立ちそうな言葉。「今から未来へ向かうのが時間なのだ」これはカイロ・ピラミッドの近くで砂漠を旅する人に筆者が感じた話。時間の流れに対して謙虚であったからこそ「無常」という言葉を発明したのに、現在何と時間に対して私たちは傲慢になっていることだろうか!