オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび470

森分大輔「ハンナ・アーレント」1

 


「私たちの思考の主題は何でしょうか。経験、これだけです。」そして現実と向き合うことなく抽象的観念の世界に立てこもってしまう態度を「世界疎外」と呼び、批判した。

まず本書は、アーレントが哲学者ハイデガーの不倫相手であった頃、実存主義哲学を学んでいた時代からスタートする。また彼女がユダヤ人女性として、彼女が語る社会現象・社会病理の常に当事者であったことを「ラーエル・ファルンハーゲン」の著作を基に、その立ち位置を確認する。

そして、いよいよ全体主義に対する考察へ。その中でモッブの行動について触れているが、フラッシュモブなど明るい好感の持てる群衆行動として評価されているが、全体主義形成の過程では、指導者の手先のように動いていたことがわかる。

全体主義が人種や民族という括りと密接に結びついているのは、周知の通り。国家は自国の中にいくつもの民族や言語を有するわけで、ヨーロッパが国民国家を成立させた時点から、内部に様々な葛藤を抱えるのは、当然のことだったのだ。そのいずれかの民族に優位性を持たせて、対立する民族を殲滅しようとする。収容所や秘密警察などそのための組織を作り、ゲルマン民族である自覚とナチへの忠誠を一体化したのが、戦前のドイツだったのだ。

しかしながら、この民族対立の矛盾は宗教対立も絡めて現在もなお世界を覆っている。アーレントが読まれ続けている理由でもあるだろう。

 


読みに来てくださり、ありがとうございました。バックナンバーに興味がある方がいらっしゃいましたら、ランダムですが以下のリンクに放り込んであります。

 


https://www.dropbox.com/sh/h2g746qsfg4i3w3/AAC0j_MtAsVkr19fn-VkxGvIa?dl=0