梨木香歩「ほんとうのリーダーのみつけかた」を読む
話は同調圧力の実験から始まる。おかしいと感じていることに同調してしまうことは、教室内の子どもたちにもある。おかしいと感じるけれど、みんなが黙っているからボクも黙っていよう。筆者が言うように「みんな違って、みんないい」というお決まりのスローガンが登場するのは、そこだと思うのですが、触らぬ神に祟りなし的に同調圧力に押し流されてしまう。
続いて、ドッグトレーナーの話。問題のある犬は、まず飼い主を指導して、犬自身にはリハビリに努めるという。そして飼い主に必要な資質は「毅然として穏やかであること」という。そのまま人間の親子関係や学校での教師と子どもたちの関係、さらにはあらゆる組織の中にも通用しそうな話であります。そして本書のタイトルにある「ほんとうのリーダー」とは自分自身の中にいるリーダーであって、そのリーダーを育てるために自分を客観視することが大切だと言います。
最近の政治家を見ると、なるほどこの人自分を客観視できていないなぁという人を見つけることができます。リーダーとして自分を育てていないのですね。
内なるリーダーを育てる。さらには次世代の子どもたちを育む。名著「君たちはどう生きるか」の引用が後半出てくるけど、全編を通して人間を信じ抜こうとする筆者の姿勢が感じられました。